名前を呼ばれて、灰澤さんはびくりとする。携帯を持ってるのならメッセージを読んだのでは。いや、今の問題はそこではない。 「中一のとき、同じクラスだった鹿沼! 灰澤もここ!? 世間て狭いな!」 「あー……ああ、鹿沼くん」 この反応、全然思い出していない。 「一番最初、席隣だったよね」 え、なんだその新エピソード。 灰澤さんの目に俺は映っていない。 「そう! 灰澤も今度やる同窓会来てよ、矢敷も来るって」 「いや俺は」 「てか二人とも、同じとこで働いてるの知ってた?」 考えていた。