高校3年生になって早2ヶ月。
季節は雨ばかりの6月、傘が手放せない毎日が続いていた。

……なんとなく、雨の日って憂鬱。

ジメジメとした纏わり付く湿気に、私の長い黒髪がクルクルと跳ねる。

なんて迷惑な季節なんだ。

朝から嫌な気持ちになりながら、バタンッと靴箱を開けて、上履きに履き替える。


「げっ、お前かよ」

すると、さらに私の気分を落とす元凶が現れた。
そして、日に焼けた茶髪の髪を掻きあげて、忌々しそうに私を睨みつける。

160センチと普通の女子よりはやや高い身長でも、目の前のこの男の前では、見下ろされてすごい威圧感になる。