私は櫓を動かしながら、お爺ちゃんのシワだらけの顔を見つめた。
「お爺ちゃん、私ね、物凄く好きな人がいるの。その人は私に愛を告げてくれたのに、私は彼を酷い言葉で傷つけてしまって……人じゃない彼とは何もかもが違いすぎて、勇気がなかったの」
お爺ちゃんは私を黙ってみていたけど、やがてニンマリと笑った。
「今はどうじゃ?」
今は……。
「今も、怖い。彼とは歳をとる早さも違うから……。でも傷付けた事を謝って、本当は大好きだって伝えたいの」
お爺ちゃんは私から眼をそらすと、遥か彼方の対岸へと視線を移した。
「その男を信じてみたらどうじゃ」
「え?」
「死者の国の男が生き人に惚れて、それを伝えた勇気を分かってやりなさい。その男は、何もかもなげうってお前を選ぼうとしたんじゃろ?なら、信じてやりなさい」
「お爺ちゃん、私ね、物凄く好きな人がいるの。その人は私に愛を告げてくれたのに、私は彼を酷い言葉で傷つけてしまって……人じゃない彼とは何もかもが違いすぎて、勇気がなかったの」
お爺ちゃんは私を黙ってみていたけど、やがてニンマリと笑った。
「今はどうじゃ?」
今は……。
「今も、怖い。彼とは歳をとる早さも違うから……。でも傷付けた事を謝って、本当は大好きだって伝えたいの」
お爺ちゃんは私から眼をそらすと、遥か彼方の対岸へと視線を移した。
「その男を信じてみたらどうじゃ」
「え?」
「死者の国の男が生き人に惚れて、それを伝えた勇気を分かってやりなさい。その男は、何もかもなげうってお前を選ぼうとしたんじゃろ?なら、信じてやりなさい」


