溺愛ENMA様

「へ?うおっ!」

私はまたしても、ドスッとお爺ちゃんを船に突き落とした。

どん!と船底に落ちたお爺さんを見届けて飛び降りるとロープをほどき、私は急いで櫓を漕ぎながらお爺さんに頭を下げた。

「ごめんね、お爺ちゃん!ってゆーか、お爺ちゃん強いじゃん!」

私がそう言うと、お爺さんは、若干照れたように笑った。

「なんで、前回は隠してたの?」

「……隠すもなにも、前はお前が物凄い勢いでワシをひっ掴んだ挙げ句、舟に突き落としたんじゃろーが。術を使う暇もなかったわい」

ああ、そうだったんだ。

「ごめんね、私、急いでて」

「今回も急いどるんじゃな。どうなさった?」