溺愛ENMA様

「俺も真剣だ」

私は溜め息をついて閻魔から眼を反らした。

「もういいよ」

桜ちゃんの切羽詰まった様子を思い出すと、あまりにも笑えない冗談だった。

私は再び大きく息をつくと、閻魔の脇をすり抜けようとした。

「待て」

「きゃ」

閻魔が私の腕を素早く掴んだ。

反動で、閻魔の胸に身体がぶつかる。

そんな私を腕の中に囲って、閻魔は至近距離からこちらを見下ろした。

「もう閻魔っ、離して」

「嫌だ」

耳元で心臓の音がバクバクと響く。