溺愛ENMA様

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「ねえ、ルナ……話があるの。ちょっと付き合ってもらっていい?」

一週間程経ったある日、桜ちゃんからそう声をかけられて、私は二つ返事で彼女の後について行った。

「桜ちゃん、どうしたの?」

本校舎の一階の北側は、食堂との間に芝生があり、木製のベンチがいくつか設置されている。

桜ちゃんはその一つに腰かけると、両手をギュッと握り締めて落ち着きなく視線をさ迷わせた。

「桜ちゃん……?どうしたの?何かあったの?」

何だか心配になって、私が彼女の隣に腰かけて見つめると、やがて意を決したように彼女は私の方を向いた。

「ルナ、ルナがロイと別れちゃったのにこんな事頼むのは凄く非常識だと思ってるんだけど……」