見たくない、絶対見たくないのに。
見たらまた傷付くのわかってるのに。


それなのに私の足はゆっくりと社会科資料室の前に向かっていて、ドアについた小さな窓からは、思った通りのふたりの姿が見えた。



こちらを向いて、机の上に座る紘。


その上に跨るように、紘と向かい合って座る麗奈先輩。


紘は妖しい手つきで麗奈先輩の首筋をなぞって、麗奈先輩もそれに応えるように紘の髪を触る。


……見たくない、のに。



紘の目がちらりと私を見て、息が止まる。


そのまま私の目を見つめて、麗奈先輩にキスをしようと、唇を寄せる。


ちゅ、と軽いキスを落とした紘は、少し黙ってから顔を離した。