不機嫌なキスしか知らない




もしかして、圭太に嫉妬してたの?

その想像が、紘の照れくさそうにそらした顔によって確信に変わる。


ああもう、こんなに可愛いなんてずるい。




「今は紘しか見てないよ」


「……あ、そ」




ぶっきらぼうな返事。

だけどそれとは裏腹に、紘の指が私の髪を優しく撫でる。

私もきみも不器用で、下手くそな恋しかできなかったけど。


気持ちが通じてはじめてのキスは、チョコレートみたいに甘くて溶けてしまいそうだった。