不機嫌なキスしか知らない



「……いつから、好きになってくれたの?」



自分で聞くのは少し恥ずかしいけれど、どうしても気になったので聞いてみたら。

紘は嫌そうな顔をして私を見た。



「……それ聞くの?」

「聞きたい」


はぁ、と小さなため息をついた紘が、私の目を見ないまま話し出す。



「……割と、最初から」


「え?」


「初めて喋った時から」




初めて喋った時、って。


「ここで?」

「そう」



紘と麗奈先輩を、この教室で見てしまった時。

泣いている紘の顔を、見た時。