不機嫌なキスしか知らない



紘は私の頬をそっと指を滑らせて、こぼれた涙を拭いてくれる。


紘の隣に座ったら、紘の手が私の手を包んで、ぎゅっと握った。


それだけで一気に心臓が跳ねるから、ずるい。





「……嫌われたのかと思って、すげえへこんだ」



ぽつり、と呟く紘の言葉が愛おしくて、私も紘の手を握り返した。




「だってこれ以上一緒にいたら、もっと好きになって苦しいと思ったんだもん」



私に避けられてへこんじゃうくらいには、私のこと好きでいてくれてるんだよね。

それだけで嬉しくて、胸がふわふわする。