不機嫌なキスしか知らない




「俺……?」



心底驚いた顔をする圭太に、慌てて首を振る。



「違うから!ちょっと紘、何言ってるの!?」




紘はいつもの不機嫌な顔で、私を見る。


わかってる、紘は全部知ってることも。
何も知らないのは圭太だけだってことも。


だけど圭太にこの気持ちは知られたくないの。

圭太に幸せになってほしいからこそ、私の気持ちなんかで迷ってほしくないの。




「──俺が本気ならいいの?」





しばらく黙っていた紘が、口を開く。
その言葉に私も圭太も驚いて顔を上げる。