「いやいや、付き合ってないよ!」



……付き合ってない。


キスはしたけど、付き合っているわけじゃない。

なんだかさっきのキスは、恋人同士みたいなそれだったけれど。




「そー、俺が一方的に追いかけてるだけ。
付き合ってくれないの?」


突然抱かれた肩。
ふわりと包まれる、紘の香水の匂い。


からかうみたいに言う紘と、びっくりして動揺する私。

そんな私を見て、紘はにやりと楽しそうに笑う。……騙された。