不機嫌なキスしか知らない




紘は私のために泣いてくれない。
紘は私のこと好きじゃない。



「っ……」




麗奈先輩がぐいぐいと紘の腕を引いて、空き教室のドアを開ける。


今から2人は、あそこに入って。


キスして、触って、それから──……。





しゅる、と頭に巻いていたハチマキを取る。


これ、紘の、ハチマキなのに。
紘が持ってるの、私のハチマキなのに。

ハチマキを交換したら、両想いってジンクスがあるらしいのに。


それなのに。




ふと、手元のハチマキに視線を落とす。







──『泣きたくなったらおいで』