不機嫌なキスしか知らない



……紘に、会いたい。


そう思って紘を探す、けど。





「紘、ほら早く行こうよ!」



麗奈先輩と紘の声がして、思わずゆっくり立ち止まった。

3階の人気のない廊下。

いつも紘がいる、社会科資料室の空き教室に入って行こうとする2人の影。



ジャージ姿の紘の腕に、麗奈先輩が絡み付くように抱きついている。


紘の首元には、私の青いハチマキがあるのに。




「さっきのリレー格好良くて、紘に触りたくなっちゃった」


絡んだ腕に、ズキンと胸が痛む。