不機嫌なキスしか知らない











「あ、紗和!」

「おー、圭太」



昼休み。お昼ご飯を教室で食べ終わったあと、廊下を歩いていたら向こうから圭太がやって来た。

手を振って、お互いに立ち止まる。



「圭太、リレーすごかったじゃん」

「まーね。紗和のクラスの藍沢にも勝ったし」

「あはは、悔しがってたよ」



圭太はずいぶん色んな競技に出て、疲れているはずなのに爽やかだ。

笑った時に見える白い歯が綺麗で、かわいい。



「でも藍沢、足速くてびっくりしたわ。
走ったりしなさそうな顔してるのにな」

「ね、それ私も思った。いつも怠そうなのに」


「……なんか俺、アイツに敵対視されてるのか、すげえ睨まれた気がする」



その言葉に、ドキンと心臓が跳ねた。

……いやいや、違うって。


私のために走ったわけじゃ、ないんだから。