不機嫌なキスしか知らない




リレーの応援席にたどり着いて、すでに並んでいる選手たちを見る。

リレーは学年関係なく順番を組んで進むから、圭太と紘はアンカーになったらしい。




「え、2年生なのにアンカーなんてすごいじゃん!」

「紘、走れるのかな……」




きゃっきゃと騒ぐ杏奈の横で、純粋な疑問を呟いてしまう。



紘が何かに必死になっているところなんて正直想像がつかない。

汗をかくところも。走ってるところなんて全く考えられない。



そんなちょっと失礼なことを思っているうちに、リレーはクライマックスに差し掛かり、圭太と紘に同時にバトンが渡る。


走り出す2人は互角のスピードで、見ているみんなは今日イチの盛り上がりだ。