不機嫌なキスしか知らない



「……はは、違うクラスの人とは交換できないね」



へらりと笑って返事をしていると、校長先生がこちらをみて咳払いしたので、慌てて話をやめて前を向く。



──好きな人とハチマキを交換すると、両思いになれるジンクス。




……まさかね。



自分の頭に巻いていたハチマキをするりと取って、眺める。

さっきまで紘の首にあったはずの、青いハチマキ。


列の後ろの方を見てみれば、面倒臭そうに立っている紘の首に、私の青。



いや、そんなわけないって。

紘はそんな可愛いジンクスを知ってるような人間じゃないって。

もっとクズで最低な男なんだから。