不機嫌なキスしか知らない




「ん」



差し出されたハチマキは、さっきまで紘が首にかけていたもの。




「これ、紘のじゃん」

「交換」

「何で……?まあ同じ色だからいいけど」




わざわざ同じ色のハチマキを交換するなんて、紘の考えてることはやっぱりわからない。

まあ、別に同じ色だし問題はないから、いいけど。



そう思って自分の頭にハチマキを巻いて、校庭に向かう。

紘も首に私のハチマキをかけて、欠伸をしながら歩いてくる。なんてやる気のない格好。



まあ、紘が本気出して走ってるところなんて逆に想像できないけど。


女の子連れて保健室でサボってるところのほうが想像できてしまって、呆れたため息をつく。