不機嫌なキスしか知らない




紘は自販機の隣のベンチに私を座らせて、自販機で炭酸ジュースを買った。

ガコン、とペットボトルが落ちてきて、紘がそれを私にくれる。

レモン味のの炭酸ジュースが、ペットボトルの中でシュワっと泡を立てている。




「……この前から、いろいろ貰ってるね」


この前保健室に行った時のココアを思い出して、少し申し訳なくなる。



「体で返してくれてもいーよ」

「本当に最低」

「はは、冗談。
……本気でもいーけど」

「ばか」



ペットボトルの蓋を開けたら、プシュ、と炭酸の弾ける音がする。

それでやっと、ずっと詰まっていた息ができたような気がした。