不機嫌なキスしか知らない




「で、保健室まで歩けんの?」

「あ、歩けるってば!」

「そう」



もう一度確認してくれたってことは、それだけ私の顔色が悪かったのかもしれない。


……その優しさが、ずるくて、あまくて。


嫌だなぁ、この気持ち。


この缶ココアを大切に持って、ベッドに入った時はきっときみのこの背中を思い出して。



──そんな風にはなりたくないなぁ。






「あれ、先生いないじゃん」




やっとたどり着いた保健室に入った紘は、そう呟いて、私をベッドに座らせた。




「寝てろ、とりあえず」

「うん、ありがとう」