不機嫌なキスしか知らない





最低で、クズで、本心の読めないきみの。

いつも不機嫌なキスをする、きみの。

私以外の女の子が好きで、ぶっきらぼうで、意地悪なきみの。



……そんな紘のさり気ない優しさに触れてしまったみたいで、胸がぎゅう、と締め付けられるように熱くなった。



前を歩く背中を見つめて、少しだけ泣きそうになる。

悲しいわけでもないのに、なぜだか涙が少しだけ溢れた。