不機嫌なキスしか知らない




「おお、藍沢。大丈夫か?」


先生が驚いたように紘を見る。
紘、体調悪かったんだ……。


「付き添いで内田さんに来てもらっていいっすか」

「え……」




予想外の言葉に、目を丸くして紘を見上げる。先生も少し驚いていたけれど、許可してくれた。



「行くぞ」



私をちらりと見て教室の出口に向かう紘に、慌てて私も席を立って教室を出る。

正直、私も保健室に行きたかったから助かったけど……。