不機嫌なキスしか知らない



「体育祭の時に告白しようと思ってるんだけど、どう思う?」

「いいじゃん、体育祭マジックあるよ」

「よーし、頑張るわ」

「うん、頑張れ!……あ、じゃあまた明日」




ちょうどいいタイミングで家の前に着いて、圭太に手を振って家に入る。

圭太も私がドアを閉めるまで見送ってくれて、いつも通りの顔で家に帰った。


ドアがガチャンと閉まった瞬間、床にしゃがみ込む。




「はぁ……」




別に、泣いたりしない。

悔しいけど、切ないけど、泣いてなんかやらない。

……だって私、何もしてないんだもん。

ただ圭太を黙って想ってるだけで、何も行動しなかったせいでこうなってるんだから。