「奥村って、下の名前、水樹って言うんだね」

「え?…そう、だけど」



希和が言う通り嫌なのか、少し顔をしかめる奥村。



「良い名前だよね」

「そう?女っぽくない?」

「そうかな。可愛いと思うけど」

「それが嫌なんだって」



奥村はジッとわたしを見つめると、ふわりと笑った。



「春沢の下の名前も良いよな」

「え?」

「心って名前」

「あ、ありがとう。結構気に入っているの」

「春沢によく似合ってる。可愛いよ」



サラッと言われ、一気に心拍数が上がる。

奥村はハッとして、耳まで赤く染めた。

奥村はどうやら恥ずかしくなると耳が赤くなるみたいだ。



「ごめん、変なこと言って」

「ううん…嬉しい」

「まぁ、でも、本音…だから」



照れくさそうに言う奥村が可愛くて。

わたしはもう1度、「ありがとう」とお礼を言った。