尊side

意味不明な言葉を残して、振り返らずに出て行った奈々。

どうしたんだ?

また何かあったのか、と気になったが今はとりあえずそっとしておくか。

退院したらゆっくり話を聞こう。

「おっじゃまっしまぁーーす!」

そう言って楽が部屋に入って来た。

「あれ、奈々ちゃんは?」

「聖藍の頭に会いに行くんだと。なんでも相談があるらしくてな」

「ふぅん?ほんっとアイツらお子様だねぇ。そんなに簡単に関係を修復できるはずないのに」

冷たい目をしながらキツイ言葉を発する。

行かせてよかったの?と聞かれ、大丈夫だと返す。

「蒼聖を同行させた。何かあっても対処できるだろ。ところで、あの日仕掛けてきた奴らの目星はついてるか?」

すると楽はとても険しい顔をした。

…なるほどな。

楽がそういう顔をするって事は、言いにくい相手だということか。

「勝手な想像だけど…紅瀬で間違いないと思う」

「ほう…その根拠は?」

「まだ確かな情報は掴めてない。関係も良好だったし、お互いのシマ荒らしたり、支障をきたすような真似はしてないしね」

けど…と話を続け、ある事を話した。

「奈々が綾牙と?」

「そう。尊のパーティーの時に、呼び出されて何か話してたみたいなんだ。その後、帰って来た奈々ちゃんの様子がおかしかったらしい」