奈々side

「…な……な…なーーなーーっ!!」

「ひゃい!?」

耳元で大声で叫ばれたもんだから、驚いて変な声を出す。

寝起きから心臓に悪いことをするのは、ぷくっと頬を膨らまし怒っている雪乃。

「何回起こしても全然起きないんだから!ったく、尊さんしか起こせないのかな…」

ぶつぶつという雪乃に、どうしたの?と聞くと、更に頬を膨らませる。

「びょ、う、い、ん!!行くんでしょっ!」

「え、もうそんな時間だったの?急いで準備する!」

私は急いで顔を洗い、着替えてメイクをする。

…もう皆に会えるのは今日が最後だから、少しめかしこもう。

憂鬱になりながらも、なんとか急いで準備を終わらせる。

今日は司さん、蒼聖さん、雪乃、私の4人で病院に行くことになった。

他の組員さんは後日お見舞いに行くらしい。

楽と椿さんは昨日から泊まりがけで尊についてくれてるから、心配なし。

病院につくと、看護師さんが入口に待機していて、病室まで案内してくれた。

さすが久月組…VIP対応…。

病室に入ると、楽と椿さんが笑って喋っていた。

尊はまだ、目を覚ましていないらしい。

「バカ息子、奈々が来てくれたわよ。早く目を覚ましなさいな」

そういってベシっと尊の頭を叩いた。

仮にも病人にする事とは思えない…。

「ほら、奈々ちゃん。尊に挨拶してあげて!」

私の背中を押し、尊の側まで連れてくる楽。

いわれなくてもするつもりですー、といいながら尊の手に触れる。