「奈々、前を向け。自分を責めるな。ここにはお前を責める奴なんざいねぇよ」

ゆっくりと前を向くと、私に気付いた組員さんが駆け寄ってくる。

「若姐さん!!ご無事で何よりです!!」

「お怪我は!?どこか痛い所ないスか!?」

「若姐さん、目が腫れてます!!氷お持ちしましょうか!?」

心配そうに口々にいう組員さんに、心から救われた。

誰も、私を責めてないんだ。

そう思うとまた涙が姿を現した。

「わ、若姐さん!?な、泣いて…!?やっぱりどこがお怪我を…!?」

「馬鹿、てめぇ若姐さんの前で若って単語出すんじゃねぇよ!」

「お前こそ若姐さん、って若って単語出してるじゃねぇか!」

そんな事まで気にして気遣ってくれてるなんて。

尊、貴方のいった通りこの組は本当に温かいね。

「大丈夫です。怪我なんてしてません。私を気遣って下さり、ありがとうございます。私なんかのためにそんな怪我まで…心よりお詫びします」

深々と頭を下げると、慌てた様子で頭を上げるよういう組員さん。

わたわたするもんだから渋々頭を上げると、私の目を見つめこう言った。

「この怪我は、勲章なんスよ!」

「…え?」

「若姐さんをお守りできた、っていう名誉ある勲章っス!他の組員の奴らに羨ましがられたくらいっスよ?」

鼻息を荒くして、自慢気にいう。