どれ位の時間が経ったのだろう。

手術中のランプが消え、執刀医と看護師と共に担架に乗せられた尊が出てくる。

「尊っ!!」

横たわった尊に駆け寄ると、先程よりも大分楽な表情をしている。

「ご家族の方ですか?久月さん、頑張られましたよ。とても危ない状況でしたが、手術は成功です。今はまだ麻酔が効いていますので、早ければ明日にでも目を覚ますでしょう」

そう聞いた途端、力が抜けたようにぺたんと床にヘたり込んだ。

言葉にしようのない感情が込み上げる。

手術は…成功…明日には、目を覚ます…。

「よか、た…よかったぁ…っ…!!」

気が緩み、目から止めどなく涙が溢れた。

頑張ってくれて、ありがとう…。

守ってくれて…ありがとう…。

とりあえずその日は楽と椿さんが病院に残り、他の皆は本家に帰ることになった。

明日、朝イチで病院に行くという条件で、私も渋々本家に帰ることになった。

久しぶりに足を踏み入れる本家は、やはりいつもと違っていた。

包帯を巻いた人がちらほら。

…きっとマンションでの抗争ね。

暗くなり、俯く私の頭に司さんの手が触れた。

そして優しく撫でてくれる。

…尊に、撫でられてるみたい。

その安心感に、涙腺が緩む。