8時を少し過ぎたところ。
外が少し騒がしくなり始めた。
「尊、帰って来たのかな?」
バタバタと数人の足音が聞こえた後、凄い強さでドアをノックする音が聞こえる。
え、何事?
覗き穴から見てみるとそこにはロビーにいるはずの陽さんと数人の組員さん。
ただ事じゃないと察し、すぐにドアを開ける。
「陽さん、どうかされたんですか?」
「緊急事態です!!とにかく、案内しますので裏口から外に出ます!!」
そういって陽さんを先頭に私を囲むようにして急ぎ足で進む。
何が、起こってるんだろう…。
陽さんと他の組員さんの表情から、危険な事態だ、ということは汲み取れる。
これほど慌てる状況となると、私が狙われてるって事なのだろう。
私の胸に不安が広がる。
見た目ではわからない裏口から下へと移動し、駐車場へ到着した。
「ここは外から見ても駐車場だということはわからない構造になってます。部外者はまず知らないでしょう。なのでここが1番安全です。若にも連絡しましたので、若が到着するまでここで待っていて下さい」
切羽詰まった表情で平静を装っていう陽さん。

