3人は扉を開けたところのすぐ横に立っていて。

2人はエレベーターの横に待機。

それからあと2人はエレベーター内にいた。

ほんとエレベーターに乗る時は驚いた。

扉が開いたと思ったら強面の人が2人いるんだもん。

心臓飛び出るかと思った。

しかもロビーには5人待機してるし?

尊、いくら何でもこれは増やしすぎじゃない?

護衛の方々、こんなことしてる程暇じゃないんじゃ。

はぁ、と溜息をこぼしてロビーにいる護衛の方に挨拶をする。

「こんにちは。警護、ご苦労様です」

「あ、奈々さん!お疲れ様です!」

「すみません、尊が我がままを…。お忙しい所、こんな事に時間を割いて頂いて…嬉しい限りです」

深々と頭を下げると護衛の方々がワタワタし始める。

頭上げてください!!と口々にいうのがなんだか可笑しくて笑ってしまう。

「こんな事、じゃないです!奈々さんをお守りすることも立派な仕事の1つです!」

「それに奈々さんをお守りできるということは、少なからず若に信頼されてるって事でやす!!」

そういう皆さんの顔は清々しいほど幸せに満ち溢れている。

きっと認められてる、ってことがさぞ嬉しいのだろう。

ほんと尊は慕われてるのね。

「ところでどこかへお出かけで?財布も持ってますし」

「あ、そうそう。今から夕飯の買い物に行こうかと思いまして」

「でしたら俺がお連れします!」

そういってニカっと笑うのは焦げ茶の髪を無造作にセットさせた爽やか系イケメンくん。

名前は陽(よう)さん。

たまに本家で会う度に元気よく挨拶してくれるし、私の話し相手になってくれるし、結構仲がいい。

無邪気な笑顔の割には私より年上の19歳。

組員の中でも新人の部類らしいけど、新人の中でも有能らしく私の護衛をよく受けてくれる。