「Melloの曲どうだったの?」
「それがさー……」
ドックン
ドックン
ドックン
「無名なのに曲は良くてビックリしちゃった!」
(!)
よ……
「良かった……」
ガシャン
「!」
「なーーにが良かったの?千葉さん?」
「あ……」
千葉君の話に夢中になっていた
女子たちに机の脚を蹴られたかと思ったら
囲まれてしまった。
女子たちは立っていて
私は椅子に座っているので
威圧感たっぷりの目で睨まれている。
(やば……心の声が出ちゃったよ)
なんとなーーく状況的に
察したかな?
そう
私は……
「笑大君と同じ苗字だからって
調子乗んじゃねェよ!ブス!!」
ガシャンッ!!
(うわっ)
…………いじめられてます。
私は地味だし
大勢の人と行動するのが苦手だから
自然とクラスで浮いて
気づいたら
いじめの対象になってるんだよね。
(小学生の時から、いつもいじめだよ……)
フンっ、と鼻を鳴らして
去って行く女子たちに聞こえないよう
私は心の中で溜め息をついたのだった。
◇◇◇◇◇
夕方。
「朝音ーっ!」
「鈴木さーん!お待たせしました!」
学校から急いで帰宅した私は
制服から私服に着替えて
仕事用のバッグを持ち
自宅まで迎えに来てくれた
鈴木さんの車に飛び乗った。
ブロロロロ……
「ごめんねー。急に呼び出しちゃって」
「いえ。お仕事なので大丈夫ですよ」
今日はOFFだったんだけど
学校が終わると同時に鈴木さんから
「急な仕事がーっ!」って連絡来たから
慌てて帰宅したんだ。
「鈴木さん。急なお仕事って何ですか?」
「うーん……。それがねぇ……社長が
会って欲しい人が居るって言うのよ」
「会って欲しい人?」
誰だろう?
社長はプロデューサーでもあるから
急に私を呼び出すことはあるけど……
人を紹介するために呼び出されるのは
初めてかな?

