「……ああ。次からは、真面目にお前の練習相手になるから。だから、敬語はなしだからな……」


「……うん」



そう答えれば、昼休みが終わりを告げようとしている鐘の音と供に、お互いどちらともなく教室へと踵を返した。


一瞬、窓から見える体育館が、私に“あの人”を思い出させる。




でも、今はーーー。


クールな王子様、漆黒のプリンス……と、囁かれている椎名くんだけど。


まだ、初めて話して間もないけれど。


椎名くんの……昨日と今日の、優しさともとれる言葉が、私は嬉しいと思ってしまうんだ。