* * * 敬語をやめろ、と言われたそばからもう敬語が出てしまって、椎名くんは溜め息をつくからもう何も言えなくなってしまった。 今さっき、迷惑をかけないと言っておいて、早速困らせてるんだから椎名くんの眉間の皺が消えないのも無理はない。 「……普通に話せばいいんだよ。周りの顔色とか、自分がどう思われてるかとか、気にしすぎだよ……お前は」 「………うん、」 躊躇いがちに私が頷けば、またしても沈黙が舞い降りて、私と椎名くんのぶつかり合った視線はすぐに逸らされる。