瞬きも忘れて椎名くんを見つめる私。

なんだか、一枚も二枚も上手の椎名くんに、上手く誤魔化されたような気がしたけれど。


椎名くんの唇から伝わった熱に、私のドキドキはしばらく止みそうにない……。



「………だから、ちゃんとオレだって確認してから声かけろよな」



そう言って背中を向けた椎名くん。


照れたような背中がずっと近くに感じることが嬉しくて堪らない。


 
私にはわかるよ椎名くん………。

椎名くんのその優しい背中が。

あの日、私を見つけてくれたように。

私も、どこにいたって見つけるから。