「……今、椎名くん何か言わなかった?」 私が聞き返せば、すぐに顔を背けてしまう。 「………なんでもねぇって」 「し、知りたいよ。椎名くん、絶対、何か言った気がするから………」 私は一歩も引かずに椎名くんの横顔に問いかける。 「ーーーーだから、」 ……と。 椎名くんのキャラメル色の髪がふわりと揺れる。 瞬きをする間もなく、グイっ……と、再び引き寄せられた私の視界には、睫毛を伏せる椎名くんが映り込んだ。 ーーーそして、触れるようなキスを落とす。 「好きだって言ったの」 「……っ、」