「もう逃げるのはなしだろ……?」
「っ、」
「オレは、もう逃げないから。だから、お前もオレのことちゃんと見ろよ……」
頭上から降ってくる椎名くんの熱の籠った声に、胸の高鳴りは加速を増して、小さく頷くことが精一杯な私。
ギュッ、と抱き締められた腕の中………。
「そのままでいいから、ちゃんと聞いてろ」
「……うん」
「お前に言われなかったら、紅葉の絵も見てなかったと思う」
「……じゃ、じゃあ。三条さんの絵を?」
どうしても椎名くんに見てほしいと願った絵。
三条さんの伝えたいことがたくさん詰まっている、未来を描いた絵を。



