もう全身が心臓になったみたいだ。
自分の鼓動の音が耳元で聞こえているみたい。
そして、三分以上滞在するであろう私とは誰一人目を合わせようとはしない中。
人の波の先、紅茶色をした綺麗な髪がふわふわと揺れて、すぐに舞ちゃんがジャンプしていることに気づく。
ほんの一瞬目が合って、その姿が何だか嬉しくて、私は汗ばんだ手でマイクを握り締めた………。
持ち合わせていないPR用紙。
だって、そんな小さな紙じゃ、椎名くんの良いところを書ききれない。
私だって、山ほど知っているわけじゃない。
だけど、椎名くんは、告白を受け入れないからといって、冷たい王子様なんかじゃないって。
あの時、私を見つけてくれた椎名くん。
ーーー“月城公花。お前、自分の名前忘れたのか?”
初めて声をかけてくれた図書室は、いつの間にか特別な場所に変わっていった。
椎名くんがいたから………。



