「どうして……?来てくれるなんて、思わなかったから……」
そう言って幼さの残る君は微かに滲みだした瞳を泳がせたあと、動くことを忘れたオレの前まで歩んでくる。
まさか、オレが姿を現すなんて思ってもなかっただろう。
こうやって二人で向き合うことは図書室のあの日以来で、情けないことに何を言えばいいか言葉に詰まる。
「ねぇ、楓……」
躊躇いがちに名前を呼ぶ紅葉の瞳は、あの頃と変わらずにやっぱり綺麗で。
視線と視線が交差して逸らしてしまいたくなる。
だけど、もう、忘れたふりは終わりにしよう。
「ごめんなさい……楓を傷つけて、ごめんなさい」
真っ直ぐに、オレを見つめた紅葉から、オレ自身も目を逸らしたりはしない。



