「喜んでいいのよ。だって、公花が頑張って練習した役で、参加者を怖がらせたんだから。役目は十分に果たしてるじゃない」
「う、うん……」
「………あ。これ、差し入れだって!」
「ありがとう」
机を挟んで向かい合う舞ちゃんは床に置いた袋の中からそれを取り出して、やや疲労気味の私に差し出した。
「公花に渡してって頼まれたの」
「……え?」
ペットボトルのお茶と紙パックのりんごジュース。
私に、と言われて、思わず受け取る手が止まった。
「ほら……あの子達からよ?」
目配せをしてくる舞ちゃんの視線の先。
私は、つい口から驚きの声を漏らしてしまいそうになった。