「これでよしっと!」


「ありがとう……舞ちゃん」


「ふふっ。午後のイベントが始まる時は、髪も綺麗に直そうね?公花が、王子様のためにスピーチしてあげるんだからさ?」


「……っ、」



結局、実はあのPR用紙は白紙のまま。

まさか、そんなことを私のために色々としてくれている舞ちゃんに言えるはずもなく。



「緊張しなくても大丈夫だよ?王子のためにこう言おうとか深く考えないでいいのよ。公花らしく、公花の思ったことを言えばいいんだからね?」



舞ちゃんの優しい声に少し落ち着きを取り戻していく心。


私がもう一度お礼を口にすると、舞ちゃんは、屋敷の出口の扉に手をかける。



「自由行動の時間は、一緒に回ろうね?」



舞ちゃんとの約束に私は笑顔で大きく頷いた。