「綺麗……、」



ぽつり、と。

心の中で呟いたつもりが、それはあまりにも綺麗で、とても儚くて。


だけど、その美しさに自然と声となって零れてしまった私の本音。


キャンバスに乗せられた赤、黄、茶、緑……が、グラデーションを描いて彩っている。


それは、まるで……。



「っ、………月城さん!?」



キャンバスから私へと飛びつくように顔を向けた三条さんの大きな目が、さらに開かれている。



「素敵な絵ですね……?」


「っ、」


「これは……創立記念祭のための絵ですか?」



ゆっくりと何かを考えるように頷きをみせる三条さん。


そしてーーー、



「聞かないの……?月城さんは、行き詰まってたわたしが……絵を描けることを……何も思わないの?」