「ちょ、ちょっと!泣きやみなさいよ!陽菜が泣かせてるみたいじゃない……」


「……ごめんなさ……っ、え……?」



止まれ、と心の中で叫びながら涙を拭う私。

そんな私の目の前に差し出されたハンカチ。



「仕方ないから陽菜のサマンソタバソのハンカチ貸してあげるわよ……っ、特別の特別だからね?」

    
「っ、ふ……うっ…………」



春風さんの優しさに嬉しくてまた涙が溢れる。



「………ちょっと!なんで、まだ泣くのよ!?てか、鼻まで垂らさないでよ!」



ゴシゴシ、と私の涙か鼻水かわからないものを拭ってくれる春風さん。



「明日、洗って返してよね……もうっ……!」



春風さんは私の泣き顔を見て少し呆れたような笑みを浮かべた。



ねぇ、椎名くん。


私、椎名くんに伝えたいことが、増えてしまいました。