これじゃ、明日のスピーチ代表なんか、無理なんじゃないかな。


というか……当の本人である最終候補者の椎名くんが、今のまま、注目度ナンバーワンのイベントのためにステージに立つとは思えない。


私だって、椎名くんと一緒に、並ぶことは……


ーーーガラッ!


突然、もう私しかいない教室の扉が勢いよく開かれたことに驚いて、顔を向けた。



「もしかして、まだ……書けてないの?」



眉を釣らせて不服そうに呟いたのは……、



「春風さん……」



今日も抜群に可愛い春風さんは先日の言葉通り、自分に磨きをかけたのか、普段よりもずっと自信あり気に見えた。



「椎名くんに限ってないと思うけど、アンタがちゃんと書かなきゃ、椎名くんが王子様になれないかもしれないでしょ……?」


「……、」


「それとも……まさか、書けないってわけ?」