だからそんな風に諦めないでほしい。


だって、椎名くんが言っていたから。



「怖いって言ってた……椎名くんも、私と同じように怖いって。だけど、大切はのはもう一度、向き合うことなんでしょ?」


「……っ、」



それは、椎名くんが言ってくれた言葉だから。


ゆっくりと私に視線を送る椎名くんのブラウンの瞳はとても儚くて、悲しみに溺れて消えてしまいそうで。


だけど、逸らされることのないその瞳を、私も同じように見つめ返した。



「私と椎名くんは独りぼっちだったけど……椎名くんを、心配してる人はちゃんといたよ?」


「なに、言って……、」


「国崎くんは、“椎名くんのせいじゃないって”……言ってたから」



そう言えば、雪の冷たさを浴びる椎名くんの顔が、苦しそうに歪んで見えた。


そして椎名くんもまた、バスケ部だったと知った私が驚いたのは、国崎くんの言葉がさっきよりもずっと重みを増したから。