夕暮れの並木道。
ヒラリ、と。
紅葉(こうよう)の舞い散る下を二人肩を並べて歩けば、一瞬触れた紅葉の細い肩に、忌々しい記憶が蘇った。
「……てか、オレと歩いてるとこ見られたら、まずいだろ?」
「どうして?」
「っ、バカ。忘れたのかよ。オレと関わると酷い目に遇うって、紅葉の親父も心配してるだろ……」
「……、」
ピタリ、と足を止めた紅葉に振り返れば、オレを射ぬくように見ていた。
「わたしが楓と一緒にいたい気持ちを、誰にも止める権利なんかない。例えお父さんの言いつけでも、それだけはわたしは守らない」
音も無く舞い散る紅く染まった楓の葉。
その下で、オレを見つめた紅葉の意思の強い瞳はあの頃と何一つ変わってなくて。
その綺麗な瞳とは不釣り合いな程、怒ったような顔をした紅葉を見ていたオレは。
ーーーどうしようもなく、泣きたくなった。



