もうどこに向かえばいいかわからない。 



「今日こそは思いきって声かけてみようよ?」


「……誘ったら、遊んでくれるかな?」



くじけてしまいそうになったその時、色めき立った声が、正門辺りから聞こえてきた。


女の子達数人がヒソヒソと相談する視線の先には、雪が降る灰色の空を睨む椎名くんの姿があった。



「どうするどうする?」


「声かけちゃおっ?早くしないと帰っちゃ……」



ガシッ……、と。

背後から女の子の肩に手を置いたのは私本人で。



「………っ!!!」



壊れた人形のようにゆっくりと振り返る女の子達のその顔は、当然恐怖に震えていた。


「遊ぶのでしたら………是非、私と…遊んでくれませんか……?」



……と、私が首を傾げた瞬間……。



「っ、で……出たぁあああ!悪霊!」


「無理無理無理………!!助け……て、」



その言葉を最後に、女の子達は涙を浮かべて当然、走り抜けていってしまう。