椎名くんが呟いた言葉の本当の意味に気づいた時、私は弾かれたように美術室を飛び出した。
 

もう、いないかもしれない……。

それでも私は無我夢中で椎名くんの姿を探した。

そうしないといけない気がしたから。



このままでいいなんて思えるはずがない。

教室にはもう誰も残っていなくて、慌てて踵を返した私は外へと勢いよく走っていった。   


凍てつく寒さが身体中の熱を奪うかのように私へと向かってくる。


雪は、変わらずに降り続けていた。

このまま背中合わせの二人。

何が正しいことかなんて私にはわからない。

……けど。 



ーーー“オレは、お前のことなんか忘れたんだよ……”


ねぇ、椎名くん、それは嘘だよね。