「陽菜は、強くなんかない……、」
私と向き合うように顔を上げると、壁に貼り付けられた重い背中を離す。
「アンタより、全然……強くなんか、ないの」
「春風……さん?」
強張った表情が崩れていく。
ぽつり、と。
眉を下げて呟いた春風さんは静かに私を見つめた。
「いつも独りでいるアンタのことバカにしてた。でも、本当は……独りでいるクセに、アンタは全然くじけないから……っ、」
「……、」
「だから、椎名くんも、もしかして本当にアンタみたいな子が好きになったのかなって……」
私の視線と交差した春風さんの瞳は、じんわりと滲んでいく。
こんな風に前も一度向き合ったよね。
その時は、簡単には届かないって思ってた。



