「これ、当日に公花が使うノートだからね?」


「舞ちゃん……これ、すごい古そうなノートだけど」



得意気な顔をした舞ちゃんの机の上にあるのは、いかにも不気味な黒いノートだ。


舞ちゃんの特訓のお陰で、練習中は周りの女の子達が今まで以上に逃げ出してしまう程、私のお化け役の演技は上達した。


きっと、沈んだ気持ちが出ていたせいもあるかもしれないけど。



「だって、屋敷内に潜む不気味ちゃんが持ってるノートじゃない?これくらい、リアリティ出さないと」


「うん!そうだね……」



そう返事をしながら舞ちゃんからノートを受け取った。


当日は、私のお手製名簿と間違えないようにしないと大変だ……。