椎名くん。


ーーー“お前には関係ねぇだろ……”


何度も声をかけようとする度に、突き放された言葉が蘇って。


遥か遠くに感じる椎名くんとの距離を埋められることなく、ただただ見つめるだけ。


その視線はこちらへと向けられることはないけれど、それでも、必然と私の視線の先には椎名くんがいた。

 

椎名くんは、今……何を思っていますか?

椎名くんは本当に伝えたいことはないですか?


気だるげな背中を視界に入れているだけで、胸が張り裂けそうになって苦しいよ。


いつの間に、こんなに私は椎名くんでいっぱいになっていたんだろう……。


時間は容赦なく過ぎていき、数日後に控えた創立記念祭に向けて、短い休み時間もみんなは細かい作業をこなしていた。